令和4年度 昭和大学附属烏山病院 春季公開講座


2022年7月9日(土)14:00〜16:04 昭和大学附属烏山病院 中央棟1F リハビリテーションセンター

司会 太田 晴久(発達障害医療研究所 所長 医師。以下、太田)

演題③『汎用性ADHDプログラムの紹介』〜サポートを全国へ広げていくために〜

                水野 健 昭和大学附属烏山病院 作業療法士

水野 健(昭和大学附属烏山病院 作業療法士。以下、水野):

 続きまして、私のほうからADHDのプログラムのお話をさせていただきたいと思います。作業療法士の水野です。どうぞよろしくお願いいたします。

 

 発達障害に関しては、太田先生からお話もありましたが、かなり注目度が高まっているということで、今もいろいろなところで目にしたりするんじゃないかでしょうか。

 現在テレビドラマでやっている「僕の大好きな妻!」ですが、原作は『僕の妻は発達障害』というタイトルのコミックです。発達障害を持つ主人公のお話であったり、『Shrink』は精神科医療を取り上げたもので発達障害に関して出てきますし、『リエゾン』も精神科医療で主に発達障害を取り上げているような漫画です。

 このように、いろいろなところで発達障害に関して目にすることがふえたんじゃないかと思います。私もこういうのを買って読んでいるんですが、漫画を買ってくると子供に「また漫画買ってきて」と言われるんですが、「これは仕事の本だ」と言って堂々と読めるのはうれしいなと思っています。少しずつではありますが、周知されてきているのは事実かなと思っております。先ほどご質問もありましたが、どこまで正しく伝わっているかとか知られているかというところはもしかするとまだまだかもしれませんが、このような現状があります。

 

 烏山病院では平成25年からADHDの専門外来、それから同時にショートケアを開始しています。今、特に青年期、成人期のADHDの方で注目すべきであったり課題であると言われているのは、ADHDの診療を行っている医療施設がまだまだ不足しているところです。

 薬物療法、お薬を使った治療は可能ではありますが、診断が正しくできるかというところも含めて、なかなか広がりにくい現状があるようです。さらに、薬は使えるんだけれども、それが全てに効くとか、全てそれで解決するわけではありませんので、これからお話しするようなプログラム、いわゆる心理社会的な支援とか治療が欠かせないと言われているんですが、薬によらないもの、非薬物療法が普及していないというところも、現在のADHDに対する支援では課題と言われております。

 

 ADHDの治療で目指していくものは、先ほど言いましたが、薬物療法も可能ではありますので、薬物療法に加えて、不安だったり、気分の落ち込み、抑うつに対処するための心理社会的な支援を導入することです。さらに、周囲の理解を示してもらい、患者さんご自身の自己肯定感、自分はこれでいいという感覚が下がらないようにして、仲間に支えられて自分の力が発揮できることが、目指すべきところと言われております。

 なかなか消えにくい発達障害の特性とご自身が折り合いをつけながら、より生きやすく生きていこうというところが目指すところになりますので、自分自身の特性を理解していく。さらに、可能であれば、肯定的な面も見つけて、それを受け入れていく。そういうところが大事になるのかなと。たとえ薬物療法があるといっても、服用する段階で自分がそれに対して肯定的であったり受け入れておくことは大事になるんじゃないかと思います。

 

 我々がデイケアで治療のプログラムを進めていくうえで、ADHDの認知行動モデルというものをベースによく考えています。主症状、不注意、多動・衝動というところは、生物学的な主症状です。

 それによって、本来こういう症状がなければうまく工夫ができるようなこと、これでうまく生活を回していくことができるものができなくなる。さらにこの症状があるがゆえに、うまくいかない、失敗をしてしまう、いわゆる失敗の経験が積み重なっていくことで、だめだとか叱責をされたり、うまくいかないことが積み重なることで、自分はだめなんじゃないかという認知の部分、考え方の癖が特徴的なものになってしまう。これらの経験の積み重ねが否定的な考え方につながって、そういうのがあると抑うつが強まったり不安になる。こういう気分の沈みがよりパフォーマンスに影響を与えて対処がとれなくなって、生活自体がうまくいかなくなっているんじゃないかというのをあらわしたものがADHDの認知行動モデルになります。

 

 デイケアではどうやったらうまくいくかというスキルを身につけていく。それから、否定的な考えが先に浮かんでしまうのをどのように修正してこうかというプログラムを組み入れながらやっていくことを取り組んでおります。

 全12回でADHDのプログラムを行っております。先ほど言ったような認知行動療法、考え方とか認知を気づいたり、修正していくようなヒントを得られるようなプログラムもあります。

 それぞれの症状に対して、不注意だったら、どうしたら忘れ物が減るかとか、してしまったときにどういうふうな対処をしようか。衝動性だったら、金銭管理にお困りの方が多いので、どうやったら衝動買いが減らせるかとか、うまく貯金ができるようにためられるかとか、そんな話を参加者同士でディスカッションをしながら、いろいろと対処を身につけていくようなプログラムもやっております。

 

 効果としては、今のところ、特に不注意のところに改善するという可能性が示されています。さらに不安が減ったり、QOL(生活の質と言われているもの)が、向上することも明らかになっています。先ほどから出てきていますが、自己理解が深まって、さらにここで得た対処法を効果的に効率よく使えるようになることが、このような結果に結びついているんじゃないかと我々は考えております。

 

 ディスカッションするんですよと口で言っても、なかなかわかりにくいかなと思います。映像がありますので、それをごらんいただけたらと思います。

 これは何年か前に「きょうの健康」で大人のADHDの特集で出たものです。(映像 NHK「きょうの健康」より) こんな感じでやっています。主にディスカッションをする形で、スタッフも一緒になって輪の中に入ってやっていく。グループで、自分はこういうことをしているというのをどんどん出し合っていくということです。1人だと対処していても一つか二つぐらい、多くて三つぐらいかなと思うんですが、あのようにたくさんの方でやると人数の数だけ倍となって出てくるということで、より自分に合った対処法や取り組みやすいものが見つかりやすくなるんじゃないかというところが、グループでやることのいいところかなと考えております。

 

 先ほど、不注意行動が減りますとか、不安が減りますという話もしたんですが、このプログラムに参加していただいた方のコメントをまとめてみたところ、「変えられるものと変えられないものを見極めることが必要」という意見が聞かれました。要は、自分の特性がわかることで、これは特性によるものなので周りの力をかりるとか、自分の努力ではどうすることもできないので周りの力をかりることができるようになったということです。

 「グループの中だからこそ自分のことがわかった」という意見は、要は、自分と似たような方と出会って、その中で比較をしたり、ここは自分と一緒だ、同じ診断名だけどここは自分と違うなということで、より自分がわかってくる。よく「他者を通して自分を知る」みたいな言葉であらわされたりもしています。

 

 それから、「ADHDを自分の一部として受け入れて生きていけるようになりました」とお話をされた方は、今まで敬遠していた障害福祉のサービスを使ってみようかなとか、いろいろ使えるものを使ってより生きやすくしてみようかなというふうになりましたという意見です。

 ADHDも自分の一部であるので、周囲の方にお伝えしたり、親しい友人に伝えたり、いわゆるカミングアウトのような形で伝えたりしていますという方もいらっしゃいました。

 それから、「仲間がいる場所が必要」という意見は、自分の特性とか自分の苦手なことに向き合う時間でもあったりしますので、それを一緒に過ごしてくれる仲間がいる場所が必要ということを指しています。

 これまで経験できなかった、共感できる仲間との新たな体験がこのプログラムでも起きているということが言えるのではないでしょうか。

 

 良いプログラムだと思ってくださった方もいるかなと思います。どんどんいろいろなところでできるといいんですが、先ほども横井さんからお話がありましたが、全国のデイケアで発達障害を受け入れているところはどんどん広がってはいるんですけれども、実際に発達障害に特化したプログラムをやっているところはわずかです。ASDでも全然少ないと言っていましたが、ADHDだけならさらに少ないという結果が示されています。

 

 じゃあ、どうして広がっていかないのかというところが、これからお話しする最近取り組んだ研究の一つになります。なぜ発達障害の専門プログラムを行いにくいのか。スキルとか、行えるスタッフをどういうふうに育てていくか、どの機関もネックになっているという回答が得られました。実はよいと言われているプログラムも、いろいろな人間ができないと広がっていかないですし、そこだけにとどまってしまう。そこで今回、厚労科研(厚生労働科学研究費補助金)で支援を受けながら、よりいろいろな医療機関で取り組めるような形で、先ほどご紹介した12回のADHDのプログラムを広げていけるような取り組みを行いました。

 

 まずは現状のプログラムがどういう評価を得ているか、実際に参加している方にご意見を伺った結果になります。これはこのプログラムはどうですかという満足度を示したもので、先行研究と比較しても低くない満足度のプログラムではあるんですが、1回目がちょっと低かった。それから、テーマによっては低い箇所があるというのを確認しました。

 それから、専門プログラムを修了された方に、こんなプログラムとか内容があるとよかったというのはありますかというのをお聞きしたりしました。ADHDだと扱わないような感覚過敏の話とか、ASDと併存症をお持ちの方もいますので、そのところについても知りたいというご意見をいただきました。

 

 プログラムを実施する経験があるスタッフにもアンケートをしたり、これからやろうとしている協力機関の方にもお話を聞いてまとめています。ここでは、参加者の方への対応に不安を持っている。プログラムをやるスタッフとしては、限られた時間をよい時間にしていくためにどういうふうに対応していけばいいのか。例えば、1人の方がずっとお話がとまらなくなってしまったらどうしよう。ほかの方は話せなくなってしまう。でも話している方をとめたらちょっとかわいそうかな、失礼かな。じゃあどういう対応がいいのか。そういうところでスタッフは困っている、悩んでいるという話がありました。

 

 もう一つは、マニュアルとか資料集があるともっと取り組みができるんじゃないかという意見です。要は経験がないと、こんな対処がありますよというのがなかなかお伝えできない。そうすると参加者の方の満足感が下がるんじゃないかという心配があるということです。

 私はADHDのグループは10以上のグループをやらせてもらっているので、あのグループではこんな意見が出ていましたとか、ほかの方が言っていたんだけどというようなことが言えるんですけれども、初めてやる方はそれがなかなか難しい。集積されたデータベースじゃないですけど、そういうものをつくっておくと、初めてでも、そういうコメントであったりプラスアルファの情報が出せるんじゃないかというところで資料集づくりに取り組んでいきました。

 回数は12回のものを5回に、半分よりちょっと少なめにしています。12回は長いんじゃないかという声も実はあったりします。ただ、先ほど横井さんの話もありましたが、仲間としてとか、成熟していったり、仲よくなっていくためには必要な期間でもありますが、12回というと、そんな長い期間無理かも、やれないかもと思ってしまう方もいるので、少し短めにしてあります。あと、少し参加の基準を設けたりしました。それから、マニュアルとかプログラム集、このあたりを充実させてつくっていきました。

 

 基本的には映像で見ていただいたとおりディスカッションなので、「はい、○○さん。次の意見はどうですか」というような形で進んでいくところではありますが、初めての方であったり文章だけだとイメージがつきにくいということで、映像の資料をつくったりしました。

 映像も、ポイントとかと書いて、業者の人が上手に見やすいような形にしてくれたりもしました。マニュアルのほうも使いやすいように、こういうふうにせりふを例として載せたりもしました。

 それから、スライドとディスカッションをセットでやるような構成にしているんですが、スライドも書いてある文字を読むとしっかりと情報が伝わるようにしてあります。全部書いてあることで、参加者の方は持って帰って後で見返しても同じような情報が得られる。メモがとりにくいという方もいらっしゃるので、メモをとらなくてもしっかりと残るというところがポイントです。

 

 それから対処法のアイデア集です。これまで出た対処法とか情報を蓄積したものです。プログラム中だけではなくて、プログラム修了後も参加者の方にとっては有用になるというところも意識しながらつくっていきました。このアイデア集なんかは、終わった後にお土産として渡すということも考えることができます。

 このような取り組みをしていくことで、さまざまな医療機関で取り組んでくださる機関がふえるといいのではないかと考えています。こうしなさいとか、こうあるべきですということをそこまで強く言うつもりもなくて、こういうところを足がかりであったりベースにして、それぞれの施設や開催する場所に合わせてモディファイしてもらえればいいのかなと思っております。プログラムがどんどん広がっていって、ADHDで困っている方にフィットする形で届くことが大事かなと思っております。

 

 まとめですが、ADHDに対する心理社会的な治療の取り組みは、まだまだというところです。

 プログラムの質が担保されるのはもちろんかなと思いますが、スタッフの取り組みやすさも欠かせない要素の一つであるというのは、今回一つ大きなポイントだったのかなと思います。

 今回我々が取り組んだところで、資料映像とかマニュアルをつくることは、実行される機関がふえる可能性が高まることが期待できるのではないかと思っています。そして、先ほども申し上げましたが、各施設の背景だったりニーズに合わせて活用していただければと考えております。 

 私のほうの話は以上になります。ありがとうございました。(拍手)

 

太田:横井さん、水野さん、ありがとうございました。私のせいで時間が押しているんですが、せっかくなので、デイケアのプログラムに関して質問がございましたら、演題②演題③に関してですが、お答えできる限りでお話しさせていただきたいと思うんですが、いかがでしょうか。

参加者○○:横井さんにお伺いしたいことが1点ございます。先ほどピアサポートの難しさについてお話しいただきましたが、今は若干お休み状態になってしまっておりますが、私のほうでもOB会を運営しておりまして、各者でニーズが違うというところで壁にぶつかっている状況にはなってしまいます。

 (キュウキ会?)という会なんですが、目的としては、間違っているかもしれないですが、発達障害者としてちゃんと居場所を提供する、あと勉強会の場所を提供するというところを提示しておりますが、自分で言うのもなんですが、そこら辺をちょっと自分でもなあなあにしてしまっているところもあって、メンバー間でも、勉強会をやりたいと言っても、なかなかそれが思うように進められないところがあります。

 私としてはOB会は居場所としてはやっていきたいんですが、勉強会としての色合いは残していきたいんですが、そうなってくるとテーマとかをつくっていかなくてはいけない。そこがすごく難しくなってしまう。そもそもそういうテーマを考えるのに、メンバーの方に協力をいただくために、私のほう、上側のほうでいろいろと動いていかないといけない。メンバー側から動いてくれることがほとんどないといった状況になってしまうので、そこで壁にぶつかっているところはあるのかなと思います。

 もし今までのノウハウとかでこうすればいいよというのがありましたら、教えていただけると助かります。

横井:内容を知っているのでなかなか難しいのは個人的にはよくわかるのですが。結局ある程度運営する素地や意欲が多くの参加者にないと、一部の人に負担がかかっちゃうということが起こるということが運営の難しさです。

 今回のピアサポートは、ある程度リーダーができる人もいれば、どちらかというと書記も難しかったり、板書も難しい、いろいろ皆さんある中で、それぞれが、じゃあできる中でどうやってこの自助グループに貢献できるか、そういったところはまず共有しようというのが大事な部分なんです。それがないまま始めちゃうと、誰かがやってくれるとそれが当たり前になってしまう、そのこと自体が話せるような土壌をつくろうというのも今回のプログラムのベースにあるので。

 それを共有できている仲間でできるかどうかが大事だと思います。それがない中で始めたグループ、今回作成したピアサポートプログラムをやる前のOB会はみんなそうなのですが、多くが始まっては消えていくということが起こるし、先ほどの厚労科研の当事者会研究を見ても、多くは壊れていくんですよ。先日、太田先生も熊本でうまくいっている当事者会を見に行ったんですよ。わざわざ熊本まで行っているんですよ。

参加者○○:そうなんですね。

横井:そうなんです。じゃあ東京でたくさんあるかというと、なかったりするし。正直言うと、ある程度引っ張れる人ってADHD特徴がある人なんですよね。例えば自閉症特性ベースの人が自分で会を立ち上げてというのはあんまり考えにくい。そういった特性ごとに役割分担みたいなのもあるかもしれない。ただ、ADHD特徴が強くてみんな主張が強かったりするとぶつかって炎上して終わるとか、そういうことも起こりますし、いろんな難しさがある中で、そうするとサポーターが要るかなとなってくる。とはいっても、この中でやっていても消えたりするので、だめなものは難しかったりします。

 例えば、僕は心理士なので、心理士同士で勉強会をしようとなると誰か幹事が要るわけですよ。幹事が1人いると、みんなその人に頼りっ切りになるわけですね。だから、発達障害があろうがなかろうが、結局、誰かが負担するのをみんながちゃんとわかって助けてあげようと思えるか。幹事がちゃんとやらないから悪いんだろうとかと言われた瞬間に、ふざけるなという話になって、会が壊れるということなので、実は人間同士が自助的に集まることって非常に難しいということだと思います。

 だけど、せっかく発達特性がある者同士で集まったらやっぱりいいことがあるよねというところを大事するための一つなので。全然答えになっていないんですけど、とにかくこういうのをいろいろやっていって、より仲間同士で集まれる、そういった仲間と出会うためにはたくさん経験していくみたいなのも一つかなとは思います。

参加者○○先ほど下地づくりという話をいただいたんですが、会を立ち上げる際にメンバー間で、この方はこういうところが長所だから、こういうところは中心的にお願いします、Bさんは物事を理解するのにたけているから書記をお願いしますとか、そういった役割分担を最初に決めておくことが大事というイメージでしょうか。

横井:ただ、それもずっとやり続けると嫌になるじゃないですか。なので、それをどうするかというのは実は結構難しい。リーダーをやり続けても平気な人がいればそれはラッキーなグループかもしれないし、いいかげんおまえらもやれよとなると、けんかになったり、できないことを要求するのかみたいにもなるので。

 どんな集まりも自然消滅していくのは発達特性があってもなくても一緒だというふうに思って、一回できたらこれをいかに維持するかじゃなくて、時々は解体してつくり直してみるとか、そういう発想も大事かなと思います。

参加者○○:そうですね。はい。

横井:頑張ってください。

参加者○○:ありがとうございます。別のグループとかも考えておりましたので、そういうのも大切かなと思いました。

太田:じゃあ、最後。

参加者○○○:今日は貴重な機会をいただきましてありがとうございました。今までのデイケアの活動を振り返りながら懐かしくお話を聞かせていただきました。

 一つ聞きたいのは、今まで、ピアサポートに関して特に資格を得るとか、ピアスタッフになるとかを考えていなくて、デイケアに在籍しておりまして、自然発生的にそういう役割というわけではないんですが人の話を聞いて自分なりに考えて答えを出すというよりはその人の話に耳を傾けることが中心になってきていたような活動が、今、就労移行支援に行くようになりまして、またちょっと違っていて、仕事の中でそういうピアサポートの役割というものを考え直すようなときに来ているんですね。

 今はデイケアを離れておりますが、資格というか、そういう考えを改めて習得したいと思ったときに、こちらに戻って学習し直す、いろんな専門的なことを学び直す場があったらいいなというのが私の希望なんですが、こちらでそういう機会を設けていただくことはできるでしょうか。

横井:先ほどあった仕事としてのピアサポーターという話になると、多分、医療ではやらないと思いますね。

 先ほどの厚労省のほうで推奨している研究でつくられたテキストがあると思うんですが、世田谷区とかでは2年ぐらい前から、あのテキストは使っていないと思いますけれども、一部の社会福祉法人とかが受託してピアサポーターの研修を始めたり、これからどんどんふえていくんじゃないでしょうか。お住まいの自治体でそういった研修の募集がかからないかとか、そういったところには目を光らせていただければと思います。

参加者○○○:医療的な知識がとても必要で、浅い知識でそれをやってしまうと、かえって相手を傷つけてしまったり、立ち直りの機会を逆の方向に転じさせてしまうような、そういう間違ったサポートをしてしまうようなリスクがあるような活動でもある。やる気だけではどうにもならないことを、どういうふうに自分の中で相手に、相手というかサポートする人が自分自身で考えて答えが出せるような、行動が変えていけるような、そういうサポートをするためには、ある一定期間であっても学んでいくことは必要……

横井:それが先ほどのテキストの中身なんですよね。あれはダウンロードできるので、一度見ていただくといいと思うんですけど。要するに、医療的な支援ということではなく、ピアサポーターとして何が必要かを学ぶ機会になっていると思います。

 というのは、結局、援助職になると、必ず人を傷つける可能性は出てくるので、そこが全く考慮されていないものでは無いと思います。じゃあ福祉の事業でやっているいろんな事業が傷つかないかといったら、合わなかったら傷つくしということは起こるので、完璧を求めると多分、医療でやっても傷つけることになります。

 前述のテキストが国として推奨するものとして出されたということは、ある程度の安全性を含めたエビデンスはあると理解していただければいいと思います。

参加者○○○:わかりました。それを一つの基準として、その中で役立てることが大事なんですね。ありがとうございます。

太田:ありがとうございます。今のお話はとても大事だなと思います。医療と福祉と就労とか、そういう枠組みの縦割りの中で、医療って保険診療のことであって、患者さんを診てお金が生まれてきて、そこは推進はできるんですけど、それ以外のところはボランティアになっちゃうんですよね。そうすると、本来は必要だとしても、研究的には維持できるとしても、構造的になかなか維持できないところがあって、それをどうしていくのかというのは、縦割りをどういうふうに変えていってという国全体での横をつなげていくことがどうしても必要になってきたりして、それをどうしていくのかを考えていくのが我々の仕事なんだろうと思います。

 もう一つ、そういったニーズが当事者の方があるかどうかも大事で、ニーズがあれば、そういう大きな構造を、少しお金をつけるという形で動かしていくことも可能になってくると思うんです。

 ちょっと脱線しちゃうかもしれませんが、ピアサポートプログラムをやろうということを前々からずっと考えていたわけでは全くないんです。そもそもASDプログラムは何で効果があるのかということについて、ピアサポートの効果に気づき始めたのは、プログラムをする中で患者さんの声を聞きながら、相互交流の中で我々も気づいてきたところだったりするんです。

 今後どのようにASDの支援をしていくのかについて、大事なのは実際の患者さんの声、ニーズということになろうかと思います。こういった場も一つのそういう機会にもなりますし、ふだんの診療の中での話し合いの中で我々も気づくところが出てくると思いますので、今のような声をぜひ出していただいて、それが大きければ大きいほど世の中を動かす声になると信じています。実際に患者さんのデイケアの中の数も一つの力になりますし、家族会もありますので、そういうのも一つの力になったりするので。そういった医療の側と患者さんの側の声を世の中に発信していって、どういう方向でやっていくのかについても議論を深めていけたらと思いました。ありがとうございました。

 完全に時間を超えてしまって、もしまだ質問がおありであれば個別で聞いていただければお答えしますので、会としてはこれでおしまいにしたいと思います。本日はお休みの中、足を運んでいただいてありがとうございました。これでおしまいにいたします。どうもありがとうございました。(拍手)

                                               (終了)